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Interview
インタビュー
<事例紹介:ラクスル株式会社 ハコベル事業本部 鈴木裕之様>
急成長中のハコベルが更なる成長のためにテレマーケティング業務を分業化・アウトソーシングした理由とその成果
まだ収益化できていない、投資フェーズの新規事業において、十分なマーケティング・セールスの体制が用意されているケースは多くありません。その一方で、飛躍的な事業成長を求められます。そのような環境のなか、多くの解決困難なハード・シングスに向き合い、工夫を凝らし、乗り越えていく必要があります。
ラクスル株式会社の新規事業 物流プラットフォーム「ハコベル」も更なる事業成長に向けて、営業の生産性を飛躍的に改善する必要がありました。
生産性改善を目的に、テレマーケティングの分業化とオンラインセールスの導入、また、早期組織構築のためにそれらの業務のアウトソース化を推進したラクスル株式会社の鈴木さんに、セールスという側面から新規事業を支援するコムレイズ・インキュベートのマネージャーである小鹿雄が話を伺いました。
1.更なる事業成長のために、なぜ、アウトバウンドコールが重要か
小鹿:本日は貴重なお時間をいただき有難うございます。最初に、簡単にハコベルの事業内容をご紹介いただいてもよろしいでしょうか。
鈴木: はい、ラクスル株式会社の「ハコベル」は、荷物を送りたい企業と荷物を運送する企業とのマッチングサービスです。専門的な話になりますが、運送にも二種類ありまして、軽車両で運べる大きさの荷物を対象にしたものが軽貨物、主に企業間物流を担う、大きなトラックで運ぶものを一般貨物と言います。軽貨物を対象にしたプラットフォームが「ハコベルカーゴ」、一般貨物を対象にしたのが「ハコベルコネクト」です。
今回、テレマーケティングをご依頼したのは、「ハコベルコネクト」の方です。
「ハコベルコネクト」に関しては、荷主企業と運送企業とのマッチングサービスだけではなくて、配車管理や請求・支払いを管理できるSaaSプロダクトも提供しております。
小鹿:ありがとうございます。当社にご相談いただいたのは、2019年の冬ごろだと思うのですが、当時感じられていた課題感をお聞きしてもよろしいでしょうか。
鈴木:営業組織を私が前任者から引き継いだとき、さらに事業成長をさせていくには、新規のリードが足りない、またそれを獲得する体制が取れていないという点が課題でした。
小鹿:新規のリードが足りないという課題設定に至った背景は何でしょうか。
鈴木: 顧客への訪問数だけ見るとそれ相応の件数になるのですが、その中身を見ると既存顧客への訪問が大半で。新規顧客へのアプローチ数は少なく、既存顧客企業の違う営業所を横展開で開拓する形で窓口を増やして売上目標やアカウント数をなんとかクリアしているような状況でした。
既存顧客内での横展開はもちろん重要ですが、このままこれまでの顧客資産のなかで開拓するだけでは、事業が目指している姿には到達できませんし、事業としても営業としても、できる限り新たなお客様と接点を持って、それぞれの顧客ニーズや課題をとらえて、プロダクトと営業戦略を磨き込まないと事業成長が停滞してしまうと感じ、その新規顧客接点を増やすにはどうしたらいいかと考えたのが背景です。
小鹿:ありがとうございます。これまではどのような手段でリードを獲得していたのですか。
鈴木:既存顧客からのリファラル(紹介)と会社としてお付き合いのある証券会社さんや銀行・信金さんからのご紹介です。それらのチャネルからも一定量のリードは獲得できていたのですが、更なる成長を志向したときに、事業特性上、一見非効率に思えるコールドリストに対するアウトバウンドコールをやってみて、どのくらいリードが獲得できるのかということを一回やってみようと決めたというところです。
小鹿:そのアウトバウンドコールを内製ではなく、アウトソースしようと思われた理由はどの辺りになりますでしょうか。
鈴木: アウトソースしようと思った理由は2つあります。ひとつは、テレアポ専任者を設けた方がアポ獲得効率が高まると考えたためです。営業は1日のなかで商談もあれば、移動時間もあります。架電して、担当者不在で戻り時間を聞けたのに、その時間には商談・移動しているとなるとその機会を逸してしまいますが、専任であれば確実にその時間に再架電ができます。また、営業にテレアポまで担ってもらう場合、そのアポは自分に入れるアポとなるので、お客様の都合と営業担当の都合が合わない場合は後ろ倒しになってしまいますが、テレアポ専任者の場合、営業全員の予定のなかで空いている最短の日時で入れられるのでスピード感も高まるだろうと考えたためです。
もう1つの理由は、業務支援システムの営業を加速したいということがあり、そこの営業工数を捻出するためという理由です。新規のリード創出と新サービスの営業を同時並行でやるのは、現在の営業キャパシティではオーバーするだろうという見立てがあったので、テレアポ業務はアウトソースしようと判断しました。
2.営業生産性向上を共に実現できるパートナーの選択基準
小鹿:なるほど。そういった背景・目的のなかで、弊社を選んでいただいたポイントはどこにありますか。
鈴木:率直な話をすると、長谷川さんを元々知っていたので、営業なら長谷川さんだろうというところで、まず相談させていただきました。その際に、事業の課題について相談させてもらったときに、事業課題に対する実のあるディスカッションができたことと、何よりも、我々事業サイドと同じ目線で当事者意識をとても感じて、それがとても頼もしかったというのが率直な感想です。
小鹿:長谷川への信頼、期待というところですね。弊社のサービス内容自体に関しては、どのように感じられましたでしょうか。
鈴木:今回、新しいチャネルの挑戦で、かつ我々として獲得したいターゲットへのアプローチなので、ただ単純にリストに電話してやみくもにアポ供給いただくということは求めていなく、すぐ成果が出ずとも、共にラーニングしながらPDCAを回して、手段として形にしていくパートナーとしてのお付き合いをしたいと考えていました。
小鹿:そのようなパートナーとして付き合えそうだとご評価いただけたポイントはどの辺りになりますでしょうか。
鈴木: 先ほどの当事者意識ということと、アポイント内容のフィードバック品質ですね。アポイントの質がどの程度のものか、つまりテレアポで会話した顧客とのコミュニケーション内容から課題抽出や、なぜアポをいただけたかのポイントを丁寧に共有していただけるということで、それが受注率のアップにも繋がると思いました。
また、SaaS系のサービス支援実績が豊富で、そういったサービスのセールス・マーケティングの知見があるという点も評価させていただきました。
小鹿:ありがとうございます。当初ご相談いただいたときに、物流という一般の方々にとっては、肌感のない領域に対するサービスなので、業界や商材に対する理解度をいかに養うかという点を不安に思われていたと思うのですが、その辺りはいかがでしたでしょうか。
鈴木:そこの不安はあったのですが、発注前段階で、事前に弊社サービスのインプットをしていただいており、ちゃんとこちらがインプットすれば、相当レベルに習熟度高く実行していただけるだろうと感じたことも御社を選んだ理由です。初めての取引先って、みんなそうだと思いますが、やはり不安があるので。そこに対しての不安を解消してスタートしていただけたというところは、非常にありがたかったなと思っているところです。
3.パートナーのパフォーマンス最大化のために発注側がすべきこと
小鹿:それは嬉しいですね。取り組みがスタートするにあたって、御社と弊社でどのような目標設定をして取り組むことになったのでしょうか。
鈴木:実は、具体的にどこまでリードの数を取れるかっていう目標数は置かなかったんです。目安は置いていましたけど、コールドリストに対するアウトバウントコールは初めての試みでしたので、あくまで有効な手段なのか否かを見極めることが目的で、PDCAを回して成果改善は追及するものの、その結果としてリード獲得手段としての有用性を見極めることに主眼を置いていました。
小鹿:新たな手段としての検証ではあったと思うのですが、鈴木さんのなかで、想定・期待していた効果はどの程度だったのですか。
鈴木:新規顧客への接点をいかに創出できるかというところが目的でしたが、定量的な計画でいうと新規顧客のアポイントの数を営業1人当たり1.5倍にしたいという計画でした。加えて、アポイント件数という量的な指標のみでなく、弊社としてアプローチしたい顧客セグメントをアプローチ対象としたので、今までの既存チャネルではアプローチできなかった顧客セグメントに対してどれだけ接点を作れるかというところを期待しておりました。
小鹿:ご期待の成果に対して実際の成果はいかがでしたしょうか。
鈴木: はい、商談数というところでは、1.5倍の計画に対して結果、2倍程度になりました。
また、商談創出に対する営業マンの工数を削減できたことによって営業マンの架電工数を他のことに活用でき、営業1人あたりの生産性も改善することができましたし、業務支援サービスの立ち上げも順調に進捗しております。
小鹿: 有難うございます。まさに、弊社がこだわっているポイントや強みとしているポイントをご評価いただいて非常に嬉しいです。
嬉しいお言葉ばかり有難うございます。ただ、弊社のみで、できるインプットというのは、やはり限界があるので、そこをより実務に即した実効性のあるレベルまで理解度を深められたのは、取引開始直後に、御社が弊社までお越しいただき、業界の商流から、各プレイヤーの課題感、そこに対するハコベルの介在価値などを直接レクチャーいただいたことが大きかったと思います。
鈴木: そうですね、そこは対象ドメインが手触り感を感じにくいドメインなので、丁寧に説明する必要があると思っていました。
業界や商材理解に加えて、弊社がターゲットとしている顧客ニーズなどもお伝えできたことで、そこを踏まえたヒアリングをしていただき、ご提供いただいたアポは他チャネルに比べて確度の高いアポになっていたと思います。
小鹿: それは非常に嬉しいご評価ですね。弊社がこだわっているポイントとして、アポはあくまで受注の手段なので、いかに受注率の高いアポを供給できるかを重要指標に置いているので。
アポそのものの確度もそうですが、そのアポを営業の皆様により確度高く決めていただくための、アポイントに至るまでの情報提供もこだわっているのですが、その辺りはいかがでしたでしょうか。
鈴木:そこも非常に丁寧に、かつ勘所良く情報提供いただいたと思います。やはり、ある程度こういう方向かなという提案シナリオの仮説をもって臨めることは、受注率に大きく影響するので。
小鹿:有難うございます。非常に有難いご評価を頂戴しているのですが、弊社としては、最初からすぐ高いパフォーマンスを出せたわけではないと認識してます。成果をお返しするまでのプロセスはいかがでしたでしょうか。
鈴木:そうですね、まず肌感のない領域の商材で専門用語も飛び交う業務になるので、いかに早く業界のことを理解いただくかが重要だと思っていました。業務開始前にインプットはさせていただきましたが、それで十分だとは当然思っていなくて、業務開始後に、Slackを通じてタイムリーに、「こういう場合はどういうふうに答えたらいいですか?」みたいなところを都度聞いていただいて、日に日に理解度が増していっていると感じました。も。パフォーマンス改善に関しても、デイリーでの振り返りやパイプラインのどこに課題があるのか、その原因、NG理由は何かを緻密に分析し、対策を取っていただいたと思います。
小鹿: 有難うございます。成果はもちろん、そのプロセスもご評価いただけて嬉しい限りです。
ここで、実際に弊社が提供したアポイントに対して営業をしていただいておりました、松岡さんにお話を聞きたいのですが、営業担当として、弊社のアポイントの質はいかがでしたでしょうか。
松岡: はい、質に関してはもちろん問題なかったですし、Slackで共有いただくアポイント内容に関する情報で検討度合いや何に興味を持っていただてアポをいただけたのかが分かりやすかったので、事前にどのようにアプローチするのがいいのかを考えられたのがすごくよかったと思います。
あとは、テレアポ業務を分業化できたことで、営業の生産性も上がったと思います。商談しながらのテレアポですと、お客様がいらっしゃる時間に商談が入っていたら架電できず機会損失ですし、御社にお願いする場合、営業全員の予定を見て、直前の訪問先が近い営業にアポを入れていただけたので、移動効率も高まったと思います。
小鹿: 実際、弊社のアポに対して対応いただいている営業担当の方にもご評価いただけているようで良かったです。
これに満足することなく、より良いパフォーマンスをお返ししたいと考えているのですが、弊社に対する今後の期待・要望がございましたら教えていただけますでしょうか。
鈴木: そうですね、今後、より営業を加速して行こうとなったときに、御社に期待したい提供アポイント数も増えていくと思うのですが、そのときに生産性を落とさずにアポ総量を増やしていただけるような体制を取っていただけると大変助かります。自社でテレアポ専門の体制を作り、安定的かつ柔軟に運用していくのは様々なハードルがありますので。
また、アウトバンドコールによるテレマーケティングだけでなく、新しい商品として、SaaSで業務支援サービスを立ち上げるのですが、そこのオンボーディングやカスタマーサクセスもお願いしたいと考えています。御社もその実績、知見がおありとのことですし、この新商品もすぐにキャッチアップいただけると期待しております。
小鹿: 有難うございます、カスタマーサクセスも実績豊富ですし注力している事業なので、是非、お取組みさせていただけますと幸いです。
今後は、より一層ハコベル様の事業成長に貢献できる体制構築と知見、ノウハウを磨き込みたいと思います。
引き続きよろしくお願い致します。本日はどうもありがとうございました。